(公財)堺市文化振興財団主催『ワークショップスキル 夏季集中講座』を受講して

みなさん、こんにちは。事務局長の坂根ここのです。

福知山芸術文化振興会では、公演やワークショップに研修として参加し、そこで得た知識や経験を福知山での文化活動に活用する仕組みを設けています。

9月4日(木)~6日(土)に、フェニーチェ堺で開催された「ワークショップスキル夏季集中講座」に参加してきました。

この講座は、公益財団法人堺市文化振興財団の主催で毎年開催されており、講師は、音楽ワークショップ・リーダーとして全国で活躍されている古橋果林さんです。

古橋さんには、福知山芸術文化振興会でも、これまで様々な事業に出演いただきました。

この講座では、音楽ワークショップリーダーとして必要な知識と技術を学ぶために、基礎から応用まで様々なワークショップを体験・実践します。

これまでも、堺市文化財団のアーティストカレッジや東京文化会館のワークショップ・リーダー育成プログラムなどの音楽ワークショップの講習会に参加したことはありましたが、自分の楽器を持って参加したことはありませんでした。

そこで、今回初めて、ギターを持って参加してみることにしました。音楽ワークショップの中で、どのような使い方ができるのか研究してみたかったからです。

受講生には、バイオリンやパーカッションなどのプロの奏者や、演劇をされている方、学校の先生など、様々な専門性をもつ方が受講されていて、多様な視点から学び合うことができました。

最終日には、こども食堂のこどもたちに向けてワークショップを実践する場があり、3日間かけて具体的な手法を学びながら、受講生同士でアイディアやスキルを共有してワークショップを創っていきました。

1日目:ワークショップ体験から学ぶ

まず、古橋さんがリーダーとなって実践される45分間のワークショップを体験しました。

内容は事前に知らされておらず、まっさらな気持ちで参加することで、こどもたちの立場に近い視点から学ぶことができたように思います。

その後は、ワークショップの組み立て方や一つひとつのワークについての解説を伺いました。

どういう意図でそのワークを取り入れたのか、何を大切に構成しているのかというお話を聞き、発想の背景を深く知ることができたのが印象的でした。

また、ワークを考える際の裏話や、これまで古橋さんが経験されてきたエピソードなども紹介してくださり、この講座ならではの学びの多さを実感しました。

後半は、自分たちがリーダーとなり、各自の専攻楽器を活かしてワークを発展させるという実践に挑戦する機会もあり、即興の面白さと難しさや、多様な楽器が入ることで音楽が広がっていくという、新しい発見が多い時間となりました。

前半に古橋さんが行われたワークショップに、それぞれの楽器を加えたり、様々なアイディアを加えたりしてアレンジしていく過程は、自分たちで音楽を生み出しているという充実感があり、とても面白かったです。

こうして、無限にアレンジでき、リーダーによっても雰囲気が変わっていくというところに、音楽ワークショップの面白さがあるのだと感じました。

その変化を体験する喜びとともに、もっと自分自身の即興演奏の技術を磨きたいという思いが強まりました。

2日目:チームで創るワークショップ

2日目は、前日に経験したことを元に、翌日の実践に向けてひとつのワークショップを作っていきました。

それぞれが役割をもち、リーダーになったり、楽器隊として音を入れたりしながら、ワークショップの構成を考えていきます。

今回、3日目の実践での対象は、外国籍のこどもたちとその家族。

言語の壁を越えて楽しめる内容にするために、受講生同士で知恵を出し合い、試行錯誤を重ねました。

例えば、日本語のオノマトペ、「ドンドン」や「ぱちぱち」を用いたワークを、絵や身振りに置き換えるなど、誰でも直感的に参加できる形へと工夫を凝らしました。

日本では、ぶたは「ブーブー」、星は「キラキラ」と表現しますが、外国ではどんな表現をするのか、ぜひこどもたちに聞いてみたいという意見も出て、それぞれの受講生の専門性が生かされる意見交換がとても刺激的でした。

そうして、ワークショップが出来上がった後は、翌日に向けて練習をしていきます。

練習の様子を録画したものを共有していただき、それぞれが帰宅後にも練習や調整をしていました。

私もホテルに帰ってから、ギターのコード進行の確認や練習を丁寧に行いましたが、じっくりギターと向き合えたことも、貴重な時間でした。

3日目:実践と振り返り

最終日は、こども食堂の親子を対象にワークショップを実施しました。

初めのアイスブレイクで心がけたことは、一人ひとりの反応を観察しながら声かけやサポートの方法を調整し、安心して表現できる雰囲気をつくるということです。

ワークショップが終わると、こどもたちが気に入った楽器を手に取り、自然に楽器体験の時間が始まりました。

バイオリンやギター、グランドピアノなど、ワークショップ中には触ることができなかった楽器にも自由に触れ、とても嬉しそうにしているこどもたちの笑顔が印象的でした。

また、外国籍であったり、家族構成が様々であったりと、背景の異なるこどもたちがそれぞれのペースで「楽しい」と感じられるワークショップを設計することの大切さを学んだ時間でもありました。

こども食堂のこどもたちや保護者の方との出会いは、かけがえのない経験だったと思います。

実践の後には振り返りの時間があり、受講生一人ひとりが感じたことに対して、古橋さんから丁寧なフィードバックをいただきました。

その中で印象的だったのは、「全員が同じテンションでなくてもいい」という言葉です。

気分が乗らないから見ているだけ、という人がいても全く問題はなく、それこそが自然だということ。そして、何もしていないように見えても、心の中では楽しんでいることもあるということに気づきました。

さらに、「自分だったらどのように関わってもらいたいか」を考えて接するようにするといいと教えていただき、今後の自分の活動にも生かしたいと思いました。

自分の音楽観と向き合って

今回の講座は、実践的に学んでいく過程がとても楽しく、自分の中にまだなかった考え方をたくさん取り入れることができました。

音楽ワークショップは、音楽へのハードルの高さを感じることなく参加できること、だんだん展開していく音楽の高揚感や充実感を五感で味わえることなど、心の底から楽しいと思える要素がたくさん詰まっているということに、改めて気がつきました。

私自身が参加するのも実践するのも大好きな音楽ワークショップですが、どうしてこんなに好きなのか、どうして楽しいと思うのか、というところにまで立ち返って考える良い機会でした。

こどもたちの姿を見る時にも、楽しいと感じられることは何か、どのような声かけがあれば安心して過ごせるのかを、細やかに観察し、汲み取れるようになりたいと思います。

後日、古橋さんのコンサートを鑑賞しました!

10月5日(日)に、古橋さんがナビゲーターをつとめる、ワークショップコンサート『暮らしっく音楽探検隊!?』を鑑賞しました。

デッキブラシや食器など、生活の中で使う様々な道具を使って音楽を作っていくという内容で、驚きとワクワクが止まらないプログラムでした。

また、今回は、堺市での講座で学んだことを活かして、あえて体を動かさずに参加してみたり、参加者のこどもたちを観察してみたりと、新たな見方で鑑賞することで、さらに深く学ぶことができました。

まとめ

現在は、自分で音楽ワークショップを企画・実施したり、先輩の実践を見せていただいたりする中で学びを重ねているところです。

今回の堺市での講座は、それらの経験を整理し、新たな視点を得る貴重な機会となりました。

理論と実践の両面から学びを深めることで、今後の活動につながる具体的なヒントを多く得られたと感じています。

音楽ワークショップは、音を通じて人と人が出会い、感情を共有し、表現する場です。

その魅力を地域でどのように活かしていくかを、これからも探究していきたいと思います。

講師の古橋果林さん、堺市文化振興財団の皆さん、そして共に学び合った受講生の皆さん、ありがとうございました!

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